黒と白
彼の名前は松岡 涼。

わたしより2つ年上の大学生。

出会いはわたしが時々しているアルバイト先で、何故大学生なのに外車に乗れるのかというのは、彼の父も会社を経営しているからだ。

とはいえ


立石グループとは全く持って比にはならないほどの小金持ちだ。

涼くんはわたしが立石グループの令嬢だということは知らない。


それどころか
時々アルバイトをしている、貧乏な学生だと思っているに違いない。




「杏樹は可愛いなぁ」

そう言って彼はよくわたしを褒める。

窓越しに映る自分を客観的に見つめる。


栗色の長いストレートの髪。
生まれつき茶色がかったぱっちり二重の瞳。
高い鼻に薄い唇。



そのすべてが父に似ていることに
もう気づいていた。


逆に大ちゃんは亡くなった母にそっくりで、典型的な日本人顔なのだ。


そんな自分の容姿が大嫌いだった。


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