絶対やせて貰います。

ダイエットを開始してから約3ヶ月間ものあいだ、その件が私たちの話題に上がる事は全く無かったから……

旭君が私の失恋を気にしてくれた事が分かったら何故か妙に恥ずかしくなった。

「何だか自分の気を紛らわす為に旭君のダイエットを利用した。

そんなタイミングだったけど……

役に立ちたかったのは本当の事だから気を悪くしないで……」

唯そこだけは誤解しないで欲しかった。

「こいちゃんにはホント感謝してる。

だから、そんなふうには思ってないよ。

気持ちを昇華出来たならホントに良かったと思ってるし……」

にっこりと人好きのする笑顔でそんな事言われたら堪らない。

旭君が今日までその話題に触れずに居てくれた優しさが心の奥にじわじわと浸透していく。

どすこい当時の写真が切っ掛けで振られたことも

本命はカンナちゃんだったことも

自分がカンナちゃんを落とす前の摘まみ食い的な存在だった事も悲しくて、

やるせない思いで一杯だったけど……

人間の本質を見極めが出来なかった未熟な私が失恋したのは

当然の成り行きだったのかも知れないなぁー

あの時の私は本物の優しさと上辺だけ取り繕った優しさの違いも分からなかったから……

旭君を見ていたら初めて『元カレ』を責める気持ちより、深く関わる前に真相が分かって良かったと心から思えてスッーと心が軽くなり安堵する。

そして今、心穏やかに居られるのも旭君のお蔭だと私は心から感謝した。