絶対やせて貰います。
旭君を探していると、リビングの方から微かに話し声が聞こえたので自然と足はそこへと向う。
小岩井家のリビングで……
私はそこで予想もしていなかった衝撃的なシーンを目撃したショックで、手に持っていたケーキの入ったバッグをドサッと音を立てて落としてしまう。
その音に二人の視線が私に向けられるけど、三人とも直ぐには動けない。
「こいちゃん……」切なさを秘めた旭君の瞳は私への憐れみなのかな?
『やっぱり。私じゃダメなんだね……』
片膝を付いた旭君が右手を伸ばし坂口さんの手を握っている仕草は……
まるでプロポーズをしているように見える。
外国人と違って日本人がすると何故か滑稽に感じるそのポーズが、旭君と坂口さんだと凄く自然に見えるから不思議だ。
『美男、美女は何をやっても絵になるのね』
一瞬のうちにそんな感想を持った私は直ぐに二人に背を向けると玄関に向かって突進した。