絶対やせて貰います。
私への思いが変わってしまったと話す旭君。
たとえ束の間だったとしても私と旭君が互いに思い合っていたことが素直に嬉しくて、過去形になってしまった思いでも旭君の口から告げられた真実に心から感謝した。
「……くれるよね?こいちゃん」
旭君の話には続きがあった……
それなのに自分の思いに囚われて、ちゃんと話を聞いていなかった私は旭君の頼みが何だったのかも分からないままに取り敢えず「はい」と返事をしてしまう。
「ありがとー。こいちゃんを幸せにするって断言はできないけど、俺は間違いなく幸せになれる……
俺の生涯を掛けて大切にするから」
大仕事を終えた後の様にホッ息をつく旭君は、またしても私を引き寄せてぎゅーと抱きしめる。
そして何か大事な言葉を聞き洩らしたらしいと思った時にはスルリと左の薬指に冷たい感触を感じて目を瞠る。
「えっ?」これって、エンゲージリングだよね?
『なななななんでーーー』驚き過ぎて声にならない声、池の鯉みたいに口をパクパクさせただけ。
「祖母のリングをリフォームして貰ったんだけど、気に入らない?」
いやいやいやいやいや……そう言うことではありません。
「……旭君。私、振られたんだよね?それなのにどうして、おばあ様の大事なエンゲージリングをしてるの?」
そこ、大事だよね?
「こいちゃん。さっき『はい』って返事したけど、俺がなんていったか分かってる?」
「あの。ちゃんと聞いてなくて……ごめんなさい」ガックリと肩を落とした旭君。
「今更取り消せないからね。でももう一回だけ言うからちゃんと聞いて……
こいちゃん。俺のお嫁さんになってくれるよね?」
プロポーズは空耳じゃないみたいです。