絶対やせて貰います。
買い求めた材料に、使用する器具を次々と作業用のカウンターに揃えてゆく。
発酵バターのパッケージに記載された総カロリーの数値を見て思わず「うそっ」と声が飛び出した。
他にも砂糖に小麦粉などの材料は、どれもこれもカロリー量がハンパない。
動悸と眩暈がしそうな程のカロリーのバカ高さに驚愕したのは、ダイエットを実践しているからこそだ!
今までが無頓着すぎたから、毎日が驚きの連続です。
それでも無心で没頭するケーキ作りの工程はとても楽しい。
天板の上に等間隔で並べた縦長のパウンド型、最初の10分間だけ高温で焼いて表面が乾いたら一旦オーブンの扉を開けてケーキの真ん中にナイフで切れ目を入れて温度を下げ更に40分焼く
そうすると焼き上がった時に真ん中がパックリと割れた綺麗なパウンドケーキに仕上がるの。
生地に段々と熱が入ってくるとオーブンから部屋中に発酵バターの芳醇な香りが広がり心は既に満たされているからなのか?
近頃は常にカロリーを気にしながら食べることが身に付いてきたこともあって、焼き上がったケーキを以前のようにバクバクと口に運ぶことは出来ない気がするから不思議。
何にせよ、無駄な経験はないのかも……
焼き上がったケーキは網に乗せて粗熱を取る。
その間にラッピングの準備。
百均で揃えたモノだけど十分に可愛いし、気負った感じにしたくないから丁度良い。
透明な袋はアルファベット筆記体が白色で印刷されたシンプルなもの、口を縛るリボンにはタグが付いていてメッセージが書けるようになっている。
『小岩井君へ
先日はありがとうございました。
良かったら食べて下さい』と短いお礼の言葉を添えた。