マネー・ドール -人生の午後-

(2)

「専属で、モデルしないかって」
「へえ、すごいじゃん。いいんじゃない?」
「……受けたほうがいい?」
「真純がしたいようにすればいいよ」
「うん……考えてみる」

 また、その目……なんだよ……何が不満なんだよ!

「何が気にいらないんだよ」
「別に……そんなことないよ」
「気にいらないから、そんな顔するんだろ? はっきり言えよ。何がそんなに気にいらないんだよ! 何が不満なんだよ!」
 あ……また……やってしまった……
 真純は黙ったまま、部屋に入っていった。
 ここのところ、こういうことが多くなった。このままじゃ、ほんとに……あの頃の俺たちに戻ってしまう……

< 198 / 224 >

この作品をシェア

pagetop