マネー・ドール -人生の午後-
 私はもう、カラダの感覚がおかしくなってて、慶太がティッシュで拭うだけて、ビクってしちゃって……もう、笑わないで……
「笑った……」
「かわいいからさ」
慶太の髪も乱れてて、汗がいっぱい流れてて、いつもの、オシャレで、かっこいい慶太じゃないけど……好き。

 私達は、そのままの姿で、お互いの体液を染み込ませた唇を、夢中で絡ませる。
唇からは、私達の匂いがして、交した時間を確かめ合った。

「嫌いに、なってない?」
「もっと好きになった」
「慶太……」
「うん?」
「好きなの」
「俺も好きだよ」
「好きって、何回も聞かないと……不安になるの……」
「じゃあ、何回も聞いてよ。何回も言うから」
 慶太は、約束、と微笑んで、二人の汗と体液に塗れた、私のカラダを抱きしめた。

 その腕は、将吾みたいに逞しくなくて、細くて、硬くて、カラダも、昔ほどじゃないけど、やっぱりスリムな筋肉質で……
あ……また……将吾と比べてる……こんなに、愛し合った後でも、私は……どうして……
 
 慶太……ごめんなさい……私……慶太のこと、好きなのに……
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