マネー・ドール -人生の午後-
「後ろから……」
「後ろから、して欲しいの?」
「うん……」
「じゃあ、お願いしなよ、俺に」
 もう、慶太の言いなりにしかなれない私は、ベッドに降りて、恥ずかしいけど、四つ這いになって……
「後ろから……してください……」
「それじゃ、わかんないよ」
 慶太の視線が、熱い……あなたの目に、私、感じてるの……
「後ろから、入れて……慶太の……入れてください……」
「真純……流れてるよ、もう……」
 そう言って、そこに、慶太の唇を感じて……えっ……ダメ!
「ダ、ダメ! そこは……ダメ……」
「じっとして」
 慶太の、舌と唇が、私には見えない場所で、激しく動いてる。初めての感触が、私を支配して、初めての感覚に、墜ちていく。
 もう、声も出でない。膝が、ガクガクする。腕にも、力が入らない。もう……こうしてあなたの唇を受けるのが、精一杯……
慶太に支えられてなければ、きっと私は、崩れてしまう。
もう、あなたの自由にしか、ならないの……

「いれるよ」
「いれて……」
 熱くて硬い、焼けた鉄の棒のような慶太が、私の内側を掻き回す。
「真純……真純……愛してる……真純……愛してるから……」
肌がぶつかる音と、慶太の掠れた声が、私の耳を刺激する。全身で、慶太を感じてる。
「慶太……もう……ダメ……」
後ろから、激しく、強く、私を突き上げて、仰け反らそうとする私のカラダを押さえつけて、慶太の汗と息が、私の背中にかかる。
「ガマン、しろよ」
そんな……ガマンなんて……ムリ……
 首を振る私の髪が掴まれて、そんな乱暴なこと……ねえ、私……変なの? 
乱暴にして欲しいの……私、あなたに、乱されたいの……あなただけのものに、して欲しいの……
「ガマン……できないの?」
慶太の指が、私の口元をなぞる。
「噛んで……噛んで、ガマンして……」
言われた通りに、慶太の指を噛んで、必死にガマンするけど……もう……
「もう……ダメ……ダメ!」
 カラダが跳ねあがって、もう力が入らない……それなのに、まだ、慶太は……
「俺は、まだだよ」
むりやり、私のカラダを持ち上げて……
「もう……許して……」
でも、私のカラダは、慶太から離れない。もっと、もっとって、慶太を求めてる。

 きっと、すごく恥ずかしい格好だよね……メイクも落ちて、髪もぐちゃぐちゃで、エッチな姿だよね……
嫌いにならない? ねえ、慶太……こんな私……ゲンメツしてない? 
でも、こんな私を……見て欲しいの……見て欲しかったの……こんな、乱れた私……あなたに、感じてる私……これが、本当の私……

「慶太……愛してる……?」
「愛してるよ……愛してるよ、真純……」
「こんな……恥ずかしい私……嫌い?」
「好きだよ……もっと……乱れてくれよ……」

 慶太が、大きな声で私の名前を呼んで……ああ、背中が、熱い……慶太の熱い愛が、背中から、脇腹に流れてく……

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