君のとなりで
思わず実結と顔を見合わせる。

まだ好きだったのに…別れようって言ったんだっけ。

昂…どうすんだよ?

「先輩…」

「あ、ごめん、つい…感情的になって…でも本心なんだ。」

そして昂の存在に気がついたらしき先輩。

「彼氏?」

「いえ、幼なじみです。」

昂が答える。こんな真剣な目をした昂、初めて見たかもしれない。

今まで長い間付き合ってきたけど、明るくて軽いけどいつも山下のことしか見てなくて。

それだけ山下のことが好きだって伝わってくるような表情だった。

「でも、俺は早紀が好きです。早紀がずっと好きなんです。」

昂は静かに、でもはっきりといった。

「えっ…?こ、昂…」

さすがの山下もこれにはビックリした様子で、目を大きく見開いている。

そして昂が山下のほうに向き直った。

「俺、早紀が好きだ。ずっと好きだ。」

あとは、山下しだい。

「…ごめん、あたし、頭が混乱してて…わからない…ちょっと今日は帰るね。」

そう言うと、山下は二人をおいて走り始めた。

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