君のとなりで
「高見先輩…」

隣にいた実結がつぶやいた。

誰だ?

実結はしってんのか?

「誰、あいつ。」

「…早紀ちゃんが高一の時付き合ってた人だよ。」

つまりは元彼ってことか…

タイミング悪いな。

久々の再会だけど、正直早くどっか行ってくださいっていうのが本音。

「早紀…久しぶりだな。」

「はい、先輩。」

山下が選んだだけあって、背も高く、なかなかいい男だ。

「なあ、なんであの二人は別れたんだ?」

実結に聞くと、実結は視線を落として、浮かない顔をした。

「すれ違いだよ。お互い好きだったのに、やっぱり会えなくなるのは辛かったみたいで、早紀ちゃんが別れようって言ったの。」

それはまた厄介だ。

どうすんだよ?昂。

「じゃあ、失礼します。行こっ、昂!」

昂の手を引いて歩きだそうとした山下。

そんな山下に戸惑いの表情をみせる昂。

「早紀っ…俺、…俺はまだお前が好きだ!」

歩きはじめていた山下の足がピタリと止まる。




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