君のとなりで

ドキドキが止まらない side実結

少しずつ近づく颯の顔。

わーっ!!わーっ!!どうすればいいの!?口から心臓が出ちゃいそうなくらいあたしの胸はドキドキを通り越してバクバクいってる。

颯の長いまつげが視界の隅に入り、あたしもぎゅっと目を閉じた瞬間、チリンチリンという自転車のベルの音が耳に響き、慌てて颯から離れる。

ガシャン!と激しい音のした方向を見ると和希君がものすごい勢いでこっちに歩いてきて、あたしと颯の間にわってはいってきた。

「颯!てめえ、実結に何してんだ!?」

今にも颯の胸ぐらにつかみかかりそうな勢い。あたしはにらみあう二人をおろおろしながら見比べるだけ。


「もしかしてお前ら付き合ってるとかふざけたこと抜かすつもりじゃねえよな?」

和希君が颯に一歩詰め寄る。颯は至って冷静であたしにどうする?というような目を向けた。

いやいや…ここで付き合ってますなんて言ったら颯、確実に喧嘩になっちゃうよ…

あたしは言わなくていいよというオーラで苦笑い。

「付き合ってるけど。」

さらりと言われたその言葉に一瞬は胸がキュンと鳴り、嬉しさが込み上げてきたけどすぐに我にかえる。案の定、和希君は更に颯を睨み付け、今にも飛びかかりそうな勢いだ。

どうしよう…もう時間も遅いのに。お母さん、心配してるかも。

そう思い、五階を見上げた。
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