君のとなりで
そんな他愛も無い話をしながら帰っていると、マンションにつく頃には、早紀ちゃんからの電話のことなんてすっかり頭から消えていた。

エレベーターに乗り込み、壁にもたれかかる。

「はー、いっぱい歩いた!久々に買い物して楽しかった!ありがとね、瞬君!」

「俺こそ、桃先輩の誕生日プレゼント一緒に選んでくれてサンキュな!助かった!」

瞬君がそう言った瞬間、エレベーターがガクッと揺れて、瞬君があたしの方に覆いかぶさってきた。

これは、いわゆる、壁ドンってやつ?

でも瞬君はそんなに背が高くないからあたしの顔のあたりに首が来るくらい。

「あっ、悪い!」

なんだか、おかしい。

あたしが笑うと、瞬君も笑った。

と、そのとき

「実結?」

エレベーターが開いて、聞き覚えのある声がした。

えっ!?

声のした方をみると、そこには目を丸くした颯がスポーツバッグを抱えて立っていた。

あ!忘れてた!

早紀ちゃんの言ってたこと!

颯にも多分、伝わってるよね…

とりあえず、説明しなきゃ!

でも、なんて?

それになんだか、颯、表情が恐いような…

瞬君を見ると、?を頭に浮かべた表情。

なに、この状況は!
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