君のとなりで

プレゼント side颯

明後日から始まる期末テスト。テスト期間は部活もできなくて、早く終わってほしい。テストは4日間もある。

「颯、ここは?」

実結がシャーペンで問題をさす。毎回恒例の実結との勉強会は今回やけに熱が入っている。

そのわけは実結が言った一言から始まった。

「ツリー見に行きたいなって…」

実結がいうツリーとは地元の駅から3駅の駅ビルの前のツリーのことで、実結曰くイルミネーションがすごいんだとか。

正直、寒いなかわざわざツリーを見に行くなんてめんどくさいし、俺は何より人混みが嫌いだ。

だけど、上目遣いで俺を見る実結には人混み以上に弱い。それに付き合ってからまともに二人で出かけたこともない。

「いいよ、行こっか。」

そう言うととたんに実結の顔がパアッと明るくなる。そんなに嬉しいのか?

でもその前に迫る期末テスト。赤点をとったら冬休み返上の補習を受けなければならない。

数学が苦手な実結はクリスマスにツリーを見に行くためにこうして毎日俺の部屋に勉強しに来ているってわけ。

「これはXの係数を考えて…」

俺の説明をかなり真剣な顔で聞いている実結。夜も遅くまで勉強しているらしいし、山下にも勉強を教わって帰っているみたいだ。

頑張りすぎて、倒れなきゃいいけど
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