君のとなりで
「実結ー、もう一回熱計ってみなさいっ…てどうしたの?汗だくじゃない。熱計ってなかったらお風呂入る?」

あたしは喉が痛いから声をださずにこくんと頷き、体温計を受け取った。

ピピピピ…37度、大分下がったかな。汗いっぱいかいたから?だけどあんな夢、今見たら冗談に思えない。

よろめきながらお風呂場に行き、熱いお風呂につかる。

ふぅー…さっきの夢、正夢になっちゃったらどうしよう…嫌だよ…

颯…会いたい。颯に会いたいよ。鼻の奥がつんと痛くなり、目からぽろぽろ流れ落ちた涙はお湯のなかに吸い込まれていく。

先月の一年記念日で少しは距離が恋人らしくなったと思ってたのはあたしだけなのかな?

あれ以来、そういう雰囲気になる気配はない。

それで何とかクリスマスっていう行事を利用すればまた近づけると思ったのに、無茶しすぎてこのざまだ。

慣れないこと、するもんじゃないなぁ…そういえば高校受験の時もみんなと一緒の高校に行きたくて勉強頑張りすぎて、バテちゃったことあったっけ。

あたしって学習能力ないなー…これじゃ呆れられてもしょうがないよね。
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