兄貴がイケメンすぎる件


……そしてそれから数分後。

店を他の店員の人に任せて、あたしは兄貴と一緒にカフェを出た。



あたしと兄貴は、マンションで二人暮らしをしている。

前はよくカップルが同棲してるだの新婚さんだのいろいろ言われたけど、なんとかちゃんと説明して今はそれも言われなくなった。

本当は、あたしのお父さんと兄貴のお母さんも一緒に暮らすはずだったんだけど、

あたしが高校にあがってすぐに、九州の方にお父さんの仕事の都合のため二人でそこに行ってしまっているのだ。

…気持ち、ちょっとだけ寂しいけど。




しばらく兄貴と二人で静かなところを歩いていたら、ふいに兄貴が言った。




「世奈」

「…うん?」

「失恋は、確かに悲しいし寂しいかもしれんけどさ、」

「…」

「でも、それをキッカケに次はめっちゃええ奴に出会えたら、それって最高やん」

「!」

「せやから、今は耐えとけ。今のそれも何かの通過点や」




兄貴はあたしにそう言って励ますと、優しい笑顔でニッコリ笑った。



…あぁ、やっぱり兄貴はイケメンです。

細胞からしてもう、他の人とはつくりが違う気がします。



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