兄貴がイケメンすぎる件
だから、いくらアイツがイケメンすぎる兄貴を知っていても、あたしはアイツとそんな甘い関係になるなんてまっぴらごめんだ。
考えただけで吐き気がする。
「はい、兄貴ごちそうさま」
「ん、」
あたしがそう考えながら空になったコップを兄貴に渡すと、兄貴はそれを受け取って店の裏に入って行った。
…あぁ、元彼の愚痴を兄貴に聞いてもらいにここに来たはずが、いつのまにかアイツの話になってしまった。
ってか、兄貴がいきなりアイツの名前なんて出すからいけないんだ。
そう思って椅子から立ち上がると、あたしは裏にいる兄貴に声をかけた。
「兄貴、あたし先帰ってるね」
何より、今は18時半をとっくに過ぎている。
早く帰らないと19時から始まる大好きなテレビ番組に間に合わないじゃん。
だから出来るだけ直ぐに帰りたかったのに、兄貴がさっきあたしが飲んでいたコップを洗いながら言った。
「え、嘘やん!?ちょー待って!これ終わったらすぐあがるわ!」
「…」