心も体も、寒いなら抱いてやる
始まりはこうだった。


放課後の校庭の片隅で、クラスの女子が3人の男子生徒に囲まれていた。

彼らは怒ると教師だろうが生徒だろうがかまわず喧嘩をふっかけるような問題児で、1年年上の佐伯というリーダー格の男子を中心にいつも3~4人でたらたらつるんでいるメンバーだった。

部活にも入らず勉強もろくにしない分、力が余っているのだろう。

いつも誰かに突っかかり、騒動の火種を自らこしらえていた。

その女子生徒は可愛くて、男子生徒に人気のある少女だった。

多分、その問題児たちもその子を好きだったのだ。

普通に話しかけるだけでよかったのに、彼らの好きな女の子に対する関わり方は小学生レベルで止まっていて、まともな接し方というものを知らない。

佐伯は女生徒の鞄を取り上げて中を物色し、1冊のノートを引っ張り出して中身を読み始めた。
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