心も体も、寒いなら抱いてやる
彼はみのりに気づいていないかのように無言で冷蔵庫の前に行き、中から牛乳パックを取り出した。

その様子をみのりは目で追い観察する。

私以上に自分の家のようにふるまっている。

ということは、しょっちゅう泊まりにきているということか。

右手に牛乳パックを持ち、左手でキャビネから白いスープボウルを取り出して戻ろうとしたその彼の顔が、初めてみのりに向いた。

額にかかるぼっさぼさの前髪の間からわずかに瞳がのぞく。

突然に視線が合ってしまい、みのりは再び「ひぃっ」と小さく驚いた。
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