僕と8人の王子



「今日は入学式だから早めに行かないとね。車出すから、日向も早く準備しなさい」


母の声で、僕は現実に引き戻された。


そういえば、僕が新入生代表の挨拶をするらしい。非常に面倒だ。


そんなことを考えている内に学校に到着していた。

まだ入学式の時間には早かったらしく、生徒はほとんどいないようだった。


そんな中、あることに気がついた。


「母さん!もしかして、毎日学校まで車で送り迎えしてくれるの?」

「え、しないけど?なんで?」

「家から車で1時間も掛かるってことは当然電車通学になるんだよね」

はぁ


無意識に出たため息。

毎日片道1時間の電車通学は正直言って面倒だ。


ところが、またも母から衝撃の一言。



「何言ってるの?寮に電車は必要ないじゃない」



「え……?」



今、『寮』って言ったのかこの人…。



「嘘だぁ⁉︎」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてないよ⁈」



「あちゃー、私、話し忘れてたみたい。ごめんね(´>؂∂`)」



『ごめんね(´>؂∂`)』じゃねぇよ!どこから出てきたその絵文字!!



「まあとにかく頑張って!私、今から仕事行かなきゃ。荷物はもう送ってあるから!じゃあね」

「あっ、ちょっとまっ......」





こうして、僕の波乱の高校生活が(強制的に)幕を開けたのであった。


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