臆病者の鬼遊び



「え、なっちゃんを!?」
 

な、『なっちゃん』……?


「それは悪い事をしたな……」
 

宮沢は、急におろおろとしだした。


その様子からして、七海子とはそれなりに親しいのだろう。
 

しかし倫太郎が彼の様子を眺めていると、宮沢は自分の顔が気になったと勘違いしたのか、


「……僕もさっき、やられたんだ。


バスケット見ただけで大騒ぎして……。


毎回、動物病院に連れて行く時は、この有り様でさ……」
 

特に返事をしてやる義理も無かったので、倫太郎は代わりに欠伸をした。
 

だが、宮沢は明るく、


「そういえば、君はどちらさん?」


他人の敷地に勝手に入ってきて誰、はないだろうがと思ったものの、「居候」と答える。


そこでやっと倫太郎の不機嫌さに気付いたのか、宮沢は困ったように笑うと、


「そうじゃなくて、名前」


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