臆病者の鬼遊び
 


怖い、と言われたはずの倫太郎は、けれどもとてもおかしそうに、にやにやと笑っていた。

表情が、ほっぺたの形で分かる。

なんなんだ、この人は……と、七海子は困惑する。


「着いたぞ」
 
着いたぞ、と言われた家の前で、やっとおんぶから解放された。
 
でも、七海子は困惑したままだった。
 

何やら、家の前にはトラックが停まってる上、引っ越し屋の制服を着たむきむきの男の人達が、

段ボールを降ろしたり、屋敷の中に運び込んだりしているのだった。
 

すると、七海子達の姿を見付けた花代さんが、ぱたぱたと二人の前にやってきた。


「お帰りなさい、二人とも! 


随分、早かったんじゃない?」


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