LOZELO



***


「紗菜ちゃん、元気になった?」


夜に一度目が覚めたけど、少し莉乃とメールをしてすぐにまた眠ってしまった。

深い眠りに落ちていた私が目を覚ますと、私と優奈ちゃんのベッドを仕切っているカーテンの隙間から、かわいい声が聞こえた。

窓の外には青い空が広がっていた。もう、朝らしい。


「おはよう、優奈ちゃん」

「看護婦さんも、紗菜ちゃん疲れてるから寝かせておいてあげてね、って」


朝の検温も、されていない。

気を遣わせてしまった。


「優奈ちゃん、昨日パパとママ来たんだって?」

「うん!お外でご飯食べてきたよ!」

「退院するって決まって、喜んでたでしょ?」

「うん!幼稚園のお友達も優奈のこと待ってるよ!って」


嬉しそうな笑顔が、私まで笑顔にさせてくれる。


「あとね、ママが紗菜ちゃんに会いたいって言ってたよ!」

「優奈ちゃんのママが、私に?」

「うん、優奈といっぱい遊んでくれるおねえちゃんだよ!って教えてあげたら、ママも会いたい!って」


誰かに想われている、って感じることがこんなにもむずがゆく感じるなんて、知らなかった。

今日も点滅している莉乃からのメールも。

たまには、私からおはようって言ってみたいな。

そう思いながら、かわいい妹みたいなオトモダチだよ、という文面と一緒に送る写真を撮るために優奈ちゃんを誘う。

大喜びしてポーズの練習をしているから、私も一緒になって練習に付き合った。

自分がしたいことを一生懸命する。

その答えは、優奈ちゃんには見えるらしい。

みんな、わかるのかな。

自分の気持ちが。自分の本望が。

私には見えないんだ。

未来も、自分の気持ちも。
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