LOZELO
「みお?」
私と優奈ちゃんを、澪の視線が行き来している。
「紗菜ちゃんの妹?」
ぎこちなく、優奈ちゃんの問いを肯定も否定もせずにはぐらかした。
「おねぇちゃん元気だった?具合大丈夫?」
そう言いながらカーテンの中に入ってくる澪は、私に近づくのを少しためらっている。
その後ろにはお父さん。そして、澪のお母さん。
「大丈夫だよ。元気にしてるから」
「いろいろ検査したのか」
澪と話してるのに割り込んでこないで、と父親に対して思ったけど、不快さは、表情だけにとどめた。
「全身くまなく検査して、ちゃんと病名もついた」
「どういう病気なんだ?」
「お腹が痛くなる病気」
説明は面倒だから、簡潔に。
「どのくらいで治るんだ?」
優奈ちゃんがいる手前、適当に受け流せない。
この子を傷つける。
「症状を抑えてる状態を維持するのが、今の治療の限度」
誰もが、言葉を失った。
遠まわしに完治しないと言ったものの、優奈ちゃんに伝わっていないことを願った。
「ねぇ、申込書にサインしてくれる?」
私が話すことは、もうない。