もう、好きじゃないから

愛し合う事で伝えたい想い

手を引かれ、店をでる。


「奏?どこ行くの?ねぇ??」
「みさきに見せたい場所だ。」


駐車場に停めてあった車
助手席のドアを開け

「乗って」
「うん…。」
シートベルトをして
走り出す車、
車窓から見える景色が昨日と全く違って見えるのは何故?

柔らかな日差しに包まれながら
片手を離そうともしない奏。

「運転…危ないから…。」
「ヤダ!やっと繋げた手だ。離したくない」
「奏…。もう…ずっと側に…。
貴方の隣にずっと…」
「あ、離さないけどなぁ…。」

暖かな空気が流れる車内。

暫くすると、
「ここだよ。」
「えっ?学校?」
「あ、学校。おいで」
車を降り歩き出す。
グランドの横を通り過ぎ
石段を上がる。

「綺麗!こんな場所あったんだ!」
「あの頃は、ここコンクリートの壁で
覆われていてわからなかったと思う。
この辺の整備が終わって
近くを通って見つけたんだ。」
「俺たちが生まれ、育った街が見えるだろう。」
「うん…。中学までお互いを知らなくて
高校で出会って…今だから話すけどね。私の初恋なんだよ…奏が…」
「えっ?マジか…。みさき…。はぁー
あの時、嫌がられてもちゃんと話せば
よかったのになぁ…。」
後ろから、抱きしめて
「ごめんな…。悲しませて…。」
私の肩に顎をのせて奏が呟いた。
「ううん。ちゃんと向き合わなかった私がいけないの。勝手に誤解してあなたを
避けて…。バカだね。本当…」

抱きしめる腕の力がつよくなり
「でも、この胸の中にやっと抱きしめることができる。」
「奏…。大好きだよ。迎えに来てくれて
嬉しかった。」
頬を伝う涙を
長い指先でそっと拭ってくれた。
見つめられ、優しく触れた唇。
隙間を開け
絡み合う舌先。息もつけないくらい
甘く溶けるように貪り合う。
「あっうっ〜ん」
「みさき…。愛し合おうか?」
「奏…。」恥ずかしさ、それ以上に
求めてる私の中の感情。
黙って頷いた。







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