あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─


夏の終わりを告げる、秋茜。

雄が体色を橙色から鮮やかな赤色へと変化をさせるように、夕陽も同じく色を変えた。血の色に似ている。皮膚を剥がして、ぽたぽたと滴り落ちていく血の色。自分の顔はまだ乾いていない。剥いでも、剥いでも、足りない。ブチ壊してやる。なにもかも、全部。

憎しみの対象は最悪の方向へ道を作り、俺は、俺達の関係は大きく動き出す。狂った歯車は、狂ったまま廻り続けるのだ。永遠に。


「っ、千秋!」
「……悪い、待たせたな」
「ぶっは!おま、出てきて早々にめっちゃ偉そう!偉そう……だけど、そこが千秋っつー感じ!なつかしい!!」
「なんだよ、それ」
「千秋、痩せた?」
「えー!痩せたとかズルイんですけど!私のお肉あげようか?最近、こう、腰回りがプニプニしてきてさあ~」
「綾は相変わらずだな」
「ん?それどーゆう意味??」
「まあまあ」
「幸次に言われるとなんかムカつく!」
「あぁん?!」

「ふふ、おかえり。ちーちゃん」


口が歪む、胸に狂気が充満していく。


「ただいま」


心からこの言葉を贈ろう。嘘偽りのない言葉を。でも、覚悟しておいてくれ。今から、ただ今からが俺が鬼になる瞬間だ。――美菜。
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