あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
「さあ、そろそろ出ないと遅れる」


相変わらず一人落ち着いている聖は、腕時計に目を落として穏やかに微笑んだ。そんな聖の傍でくっついて離れないのは、彼のたった一人の家族、たった一人の妹。


「あ、ねえ!じゃあじゃあ聖!私と結婚しようよ~」
「だあめええええ!ひーちゃんは誰とも結婚しません!」
「ぶっは!妹からのダメ出し!ほらほら、俺にしとけって?こいつらもう兄妹っつーか夫婦じゃん?立ち入り不可じゃん?」
「マジでうっさい!」


賑やかで、うるさくって、あたたかい。

色々とあったけれど、私達は今日も生きている。道を踏み外しそうになった時も確かにあったね。でも、ちゃんと生きてるんだ。


「はー、同窓会っていっても元々の人数が少ないもんね」
「ああ、でも皆来るって」
「そうなの?」
「ん、早紀にタカルって笑ってた」
「なにをー!」


六人で〝生きて〟いく。今日も、明日も、明後日も。
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