あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
――イッソ、此処デ、美菜ノヨウニ

出会ってまだ数時間も経っていない人間を消そうとしたのか。簡単に、悪戯(あそび)ごとのように。一つ、罪を重ねるぐらいどうともないと。


「千秋?」


不安そうな声音(こわね)で幸次が顔を覗き込んでくる。そんな幸次の声に反応して、聖も俺達を掴んでいた手をそっと離した。


「本当に、大丈夫だから」
「そっか…」
「はやく行こう」
「……ん、」


ぷつりと途切れる会話。

それでも足だけは動く。昼前だというのに妙に薄暗い森の不気味さから逃げるように。ひたすらに前へ前へと進んでいく。

そんな俺達の頭上では烏が数羽、厭な声で鳴いていた。

烏が鳴くと縁起が悪いだなんてよく聞くけれど。それらは迷信でもなんでもない。死肉を食すことが所以なだけだ。

亡くなった生物の肉を食らう、ただそれだけのこと。動物だろうが、人間だろうが。あいつ等が鳴く処に死臭が漂っているだけ。

この森には烏が多い。――なあ、美菜。
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