あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪7≫ 朱の境界線


夢を見た。

ひどくリアルで、それでいて現実ではないと理解できる夢を。


「っ、」


目を見開き、滲んだ世界に映るものはここ数日ですっかりと馴染んだ高い天井。耳に神経を集中させれば聞こえてくる二つの寝息。

ゆっくりと慎重に身体を起こし、二人の寝顔を窺う。

幸次は眉間に深い皺を作り、時折唸り声を上げている。俺と同じように悪夢に魘されているのだろうか。もしかして聖も、と首を回すと。聖は青白い顔で規則正しい呼吸を繰り返すばかりだった。


「……強いな」


自分自身の耳にも届きそうにない弱々しい独り言を呟き、再び身体を布団のなかへと沈める。夢の続きは違うものがいい。情けなくもそう祈りながら。願いを込めて、ぎゅうと心臓のあたりを掴んだ。

それは、朱の境界線。
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