あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─


全てが夢ならば、どんなに幸せだっただろうか。

少しの間とはいえ雨が降った分だけその水嵩を増す川。淀んだ褐色の泥水に流されながら見る過去の記憶はどうしたって嘘にはならない。そう、夢にして逃げていいわけがない。誰よりも俺が。

廻る、廻る、カルマ。


『ちーちゃん』


ああ、そうだな。

ちゃんと話さなければならない。思い返さなければならない。小さなこの村で生じた(ひず)みを。俺達が隠し続けていた、罪を。

廻る、廻る、カルマ。


「おぉーい!えらいこっちゃ…!」
「はよう駐在さんを!!」
「佐藤医師(せんせい)も呼んでけえ!」
「なんで、この村で、こないなことが……」



〝やっと一つになる〟

通りすがりの村人に助けられ、診療所で深い眠りについていた頃。俺が引き上げられた川岸から数十メートル離れたところで発見されたのは、首をもがれた遺体とメッセージ。〝最後は下半身を貰う〟
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