あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪11≫ 追想のカルマⅠ


俺達は総人口千人にも満たない〝千社村(ちしゃそん)〟という小さな村で生まれ育った。道を歩けば出会うのは人よりも動物。我が物顔で道路を占領するのはエコカーでも高級車でもなくトラクターにコンバイン。

家の鍵を掛ける習慣さえ忘れられているような平和で長閑な地方。

集落の四方は山に囲まれており、閉鎖的と言えばそうなのかもしれない。それでも小説や漫画などでよくある異様な風習や因習なんてものはないと信じ、顔を合わせれば皆が親や親戚、友人の態度で接してくれる。そんな時代遅れではあるものの温かな場所で。


遡ること、十年。

始まりは変化のない日常だった。

退屈で、つまらない、終わりの見えない永遠。


大人になればその退屈とも思える時間がどれほど尊いものだったのかを理解することが出来たのだろうけど。幼かった俺達はただ、その場凌ぎで刺激を求め、スリルと快感を味わっていた。


「ちーあき!」


振り返ればいつも行動を共にしていたメンバー。
綾に早紀、幸次に聖、そして、美菜。――小学五年の、夏。
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