あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
勘違いからの想いだったのか、どうなのか。今となってはもう解らない。それでも初恋の切欠なんてきっと驚くほどに些細なもので、特別じゃあない。芽生えてしまったなら、それが全て。

隣で微笑む美菜を可愛いと思った。愛おしいと思った。それだけ。


「恥ずかしいから、ひーちゃん達には内緒だよ?もー!だって本当に怖かったんだもん!ねね、寝る時も一緒に寝ても……良い?」


妹のようにしか見えていなかった美菜の、女の子らしい一面。


「あー、うん。良いよ」
「ほんとぉ?!ありがとう!」
「……おい、今ひっつくのはナシ」
「えへへ、調子に乗りました」


美菜を女の子として意識し始めたのはこの時。

そして、全てが狂ル狂ルと廻る。恋と、家族と、友情。千社守祭。全てが揃った〝この日〟が〝あの日〟に繋がるだなんて。



それこそ、誰も知らなかった。
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