あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪12≫ 追想のカルマⅡ


美菜に抱いたほのかな恋心。

それは急激に育つこともなく。かといって消えるわけでもなく。

いや、違うか。育つことを恐れて隠していただけなのかもしれないけれど。それでも六人で共に過ごす平穏な日々は、ゆるりゆるりと幸せに続いていた。そんな俺達が中学二年生になった春。

あの、空恐ろしい光景を見た神社で〝立志式〟が行われた。

立志式とは奈良時代以降の元服の儀に因み、十四歳(数え年で十五歳)を祝う式の事である。主に大人になる自覚を持つようにとの願いが込められ、俺達の村でも例に漏れず十五名全員が集められた。

そこで奇しくも千社守祭の全容を知る運びとなる。

あれ以来、どんなに誘っても幸次達は話に乗ってはくれなくて。五人にとって千社守祭はトラウマ以外の何物でもなかったという事実を痛感した。まあ、普通の神経ならばそうだろう。

一人興奮していた俺が異常だったのだ。
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