あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
興味は尽きないけれど、大人に聞いてもはぐらかされる。友人は付き合ってくれない。このまま自分が十五になるまで待つのか。

そう、思っていた矢先の出来事。


「千社守祭はな、昔からこの地方でずっと行われてきた由緒あるお祭りなんじゃ。絶対に途切れさせてはいかん、お祭りなんじゃ」


こぢんまりとして見えた本殿のなかは意外にも広く、中央に全員で座らされると自分達の存在が如何にちっぽけであるかを思い知らされ、その荘厳(そうごん)さに圧倒された。神聖な雰囲気に飲み込まれそうになる。ここが慣れ親しんだ場所であると忘れそうになるほどに。


「由来はさっき話した通り。そんでの、今まで君等〝子供〟には隠してきた夜半(よわ)の千社守祭についてのことじゃがな――」


浄衣(じょうえ)姿の神主から語られる祭りの詳細は、やはりどこか薄暗く因習めいたものを感じさせて身震いがした。それは実際にこの目で見てしまっているからなのか、そうではないのか。


「大人になると色々と経験も増えるだろう。辛くもあるだろう。それでも生きていかんとおえん。まあ、自分なりの想いを祈願する為の祭典だとでも今は思っておきんさい」


神主の説明は、こうだ。
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