終わりかけの永遠に
「千歳、ちょっと歌ってみて」

「えっ!?」

「なんか上手そうじゃん?どっちがボーカルするか決めようぜ」

「う、うん。いいよ」


人前で歌なんか歌ったことがない。
緊張しながらも、俺は口を開いた。

曲は本当に普通のJ-pop。

歌い終わると、「千歳、上手いじゃねーか!」と明が笑った。


「え、そう?明も歌ってみてよ」

「え、俺?まぁいいけどさ」


明は咳払いをして、有名なバンドの曲を歌った。
力強くて、迫力があって、ハスキーで、カッコいい。


「すっげぇ...!」


歌い終わった後、俺は感動をそのまま伝えた。


「そうか...?」


明は照れ臭そうに笑う。


「ボーカルは明で、決まりだな!」

「いや、千歳の歌声も繊細で最高だったよ。だったら、曲によってボーカル変えるか」

「え、それアリ?」

「アリアリ!臨機応変っつーことで!」

「臨機...応変...」


そんなこんなで、結局ボーカルは二人、ということになった。
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