終わりかけの永遠に
騎田くんは、グッと拳を握り、気持ちをきちんと持とうと前を向き直した。


「...俺、ずっといじめられてきたんだ。誰かに言うことも出来ずに、ずっと独りだって思ってて、自分がこんな性格だから、仕方ないって。自分が悪いんだって思ってた。でも、ある日、俺のことを助けてくれたヤツがいてさ。ソイツは、俺の心友。これからもずっと。でも、それと同時にソイツは、俺のヒーローであり続けてる。俺は、ソイツみたいに、人を笑顔に出来て、頼れて、人を守れるような、そんな人になりたい。いじめられてた俺でもさ、こうやって、みんなに気持ちを伝えることが出来た。だから...宮本さん、宮本さんも、自分の思いを周りに伝えられる。下崎さんと田澤さんも、いじめられている人の気持ちがきっとわかる。見て見ぬふりしてた人達も、きっと一歩を踏み出して、助けられる」


騎田くんの真っ直ぐな、嘘偽りない言葉が、教室を包む。


「...そうだな。宮本、助けてやれなくてごめん」

「私も、香ちゃんと由奈ちゃんと友達なのに、止めることが出来なかった。ごめんね」

「私も、自分がいじめられるんじゃないかって、怖くて...ごめんね、これからは、支えられるように頑張るから」


皆が口々に思いを伝えていく。
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