身長差43センチのふたり。
『とりあえず熱下がったみたいで良かった。…あ、これ。』
「……?」
ズカズカと俺の部屋に入ってきた姉貴に差し出されたのは、俺の好物のオレンジゼリーとスプーン。
素直に受け取ると、今まで冷蔵庫で冷やしてあったのか、ゼリーは冷たくて気持ち良かった。
『小日向っちから、アンタに差し入れってさ。』
「っ!?」
早速ゼリーを食べようとカップの蓋を空けようとしていた手が止まる。
これ、小日向が…?そういえば、ゼリーも買ってきたって、言ってたっけ。
風邪で寝込んでただけなのに、こんなにも至れり尽くせりと甲斐甲斐しくも看病までしてくれた彼女に、ただただ愛しさが募っていく。
小日向が好きだと、小日向の置き土産をもらう度に痛感させられる。
『可愛いよねーっ、小日向っち。』
「っ……だから何だよ?」
当たり前のことを口にする姉貴に、俺は眉間に皺を寄せる。
小日向が可愛いことなんて、だいぶ前から知ってる。
『男が引っ張るもんよ?何に置いてもね。』
「は…?」
意味の分からない捨て台詞を吐いた姉貴は、じゃあね♪と楽しそうに俺の部屋から出て行った。