身長差43センチのふたり。



『あのさ、小日向。』


学校の最寄り駅を出て、学校までの一本道を歩いていると、隣にいる高遠くんが口を開いた。

何?と言って高遠くんを見上げると、赤く染まった耳の裏を掻く高遠くんはなんだかいつもと様子が違う。


『この前は…ありがと。』

「え?」

『金曜日……来てくれただろ。』


マスクをしているからか、照れてるのか、いつもより声が小さい高遠くん。

金曜日のお見舞いのことを言われていることに気付いた私は、こんな些細なことにも感謝を忘れない高遠くんは本当に素敵な人だと思った。


「そんな大したことはしてないよ。本当は華ちゃんと久松くんも一緒に行きたかったんだけど。」

『……いや、小日向が来てくれたことが嬉しかったんだ。』

「………え?」


一瞬で心を奪われたように、歩いていたことも忘れて立ち止まった私は高遠くんを見上げる。

高遠くんの声は相変わらず小さかったけど。

今……私が来てくれて嬉しいって……



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