身長差43センチのふたり。



『俺のこと、"千尋"って呼んで?』

「へっ…?」


"千尋"――…?

さっきプリントで見た名前。それはまぎれもなく、高遠くんの下の名前で――…。


『俺だけ"雛乃"って呼んでるのに、雛乃は"高遠くん"なんてさ、寂しいんだけど。』

「~~~っ///」


全く気にしてなかった。

そっか。普通、恋人になったら、下の名前で呼ぶ…よね?

何の考えなしの自分に、今まで高遠くんがどんな気持ちでいたのかを察して、申し訳なさが募っていく。

それと同時に、改まって高遠くんの下の名前で呼ぶことが、ちょっと恥ずかしく思った。


『呼んで?』


気まずさと恥ずかしさが入り混じって目を泳がせていると、横から高遠くんの顔がドアップに映し出されて、精神的に逃げ場を失った。

言わなきゃ…と頭は訴えるんだけど、中々口にできないチキンな私。



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