身長差43センチのふたり。
『あ!ごめん!』
『ゴメンじゃないわよ!……って、高遠…勉強してたの!?』
『……何だよ。悪いかよ?』
あの高遠が?マジウケるーっ!と飛び切りの笑顔で笑う島津さんにつられて、千尋くんも笑ってる。
心にしこりが残るほどに仲が良い2人に、私はどす黒い感情を心の中に抑え込むのに必死だった。
2人の醸し出す雰囲気はまるで――
『図書室で書くわよ!早く行こっ』
『分かったよ。』
島津さんにせかされて、千尋くんは机の上に散らばったシャーペンと消しゴムを筆箱にしまっていく。
『…雛乃、ちょっと行ってくるな。』
「あ…うん。」
千尋くんと視線がぶつかって、心がドクンと高鳴る。
『すぐ戻ってくるから。一緒に帰ろ、な?』
「ん…分かった。待ってるね。」
私の頭を撫でた千尋くんは、筆箱を持って島津さんと教室から出て行った。
『……クス、』
「………っ!」
教室から出ていく直前、目が合った島津さんに得意げに笑われた。
何…?今の――。
心音がバカデカく身体中で鳴り響くのを私以外誰もいない教室で、胸に手を当てて抑えた。