私の決心
「でももう少し私が若かったら、どうだったかしらね?園田君に引かれていたかしら?」

私がそういうと同時に幸二が入ってきた。

「真面目に引継ぎをしているかと思ったら、何を言ってるんだ。」

ちょっと不機嫌そうな部長の顔。

私は、別にそんなに深い意味で言ったつもりはなかった。

ただ状況が違えばどうだっただろうって思っただけなのに。

「心配で入ってきたんでしょう?部長。」

園田君は鬼の首でも取ったかのように、部長に視線をやった。

「園田がどんな風に攻めてくるのかが気になった。お前は頭の良い男だから、橋本に逃げ道を作らずに追い込むんじゃないかと思ってな。そしたら早速橋本があんな事言うから…。俺の心配は鈍感な橋本には伝わらないからな。それにしても園田の武器は若さだからな。
それでまっすぐに橋本に向かわれたら、どう転ぶか分からない。園田の若さにはどうあがいても俺は勝てない。」

幸二は園田君を見て苦笑した。

「部長には部長の、園田君には園田君の良さがあるんです。それは比べるものではないですよ。」
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