私の決心
私は会議室に先に入ると、園田君がその後を追いかけてきた。

「部長と引っ付いちゃったんですね?」

ちょっと寂しげに園田君は私の顔を見る。

「分かるの?」

私は園田君の敏感さに驚いた。

部長も私もそんなそぶりを見せたつもりはないのに。

「朝から2人の表情見ていたら分かりますよ。特に課長の表情がすごく柔らかくて、女の顔してますもん。 俺、前にも言いましたけど、ずっと課長の事見てきたんですからね。」

園田君は少し悔しそうに顔をゆがめた。

「そうなのかな。」

その違いが自分ではさっぱり分からない。

「今日の課長、本当にきれいです。本当ならどんな手を使っても部長から奪うんですけどね。その顔見ていたら、諦めるしかないのかなって。多分俺は課長にそんな表情をさせる事は出来ないだろうから。部長には仕事でも男としてもまだまだかなわないです。」

本当に園田君は出来た男だ。

でもそれだけで全てを理解してしまうなんて、やっぱり只者ではない。
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