私の決心
少しムッとした様な部長の顔。

「話しながら、部長のペースに付いていけるのかな。」

二人で話しながら、歩き始める。

私の生い立ちや学生時代の話。

「結構頑張り屋で、一生懸命勉強もしたんで、わりと会社に入るまで、順調な人生だったんですよ。でも人生の一番大切な結婚で、思いきりこけてしまったという感じです。でも強がりかもしれないんですけど、あそこで結婚しなかったのは、何か意味があるんじゃないかって気がしてるんです。まだその意味は分からないから、自分の勝手な思い込みかもしれないんですけどね。」

私は上手くは言葉に出来なかったけれど、部長の頷いてくれる様子
に、私の言いたい事は伝わっていると感じた。

「その意味が分かるには、もしかしたら一生かかるかもしれないな。
死ぬ時に、分かる事かもしれないな。」

部長のその言葉に、やっぱり私の言いたい事はちゃんと伝わってい
ると確信できて、またそれが無性に嬉しく感じた。









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