好きを百万回。


5の倍数の日は銀行は忙しい。
月末ほどではないものの、少し忙しい日のお昼、若干ずれこんでしまったけどさあご飯に行こうかなと席を立つ。

隣の窓口では、矢口さんがお客さんのおじいちゃんに
「振込ならATMをお使いください。手数料もお安いです」
と言い放ち、次のお客さんを呼ぶボタンを押す。

後ろのお局係長の森崎さんの視線が痛い。・・・・・しょうがないなあ。ロビー係のパートさんも忙しそうだし・・・・・。

ロビーに出る扉を押して、おじいちゃんのところまで歩いて行く。

「お客様、一緒にATMまで行きますね」

おじいちゃんがホッとした顔をする。機械が苦手なお年寄りは多いもんね。

横について全ての手続きを見守る。

「おおっ!出来た!」
子供のように喜ぶ可愛いおじいちゃんだ。よく見ると、仕立ての良さそうなコート、磨かれた靴、お金持ちなのかも。

「無事手続き終わりました。良かったですね」
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