好きを百万回。


「いつも楽しそうにキルトしてるの邪魔してゴメン」

「いえ、わたしこそ。ホントは1人でゆっくりしたいと思ってはるんちがうかなと・・・・・」
野波さんがキルトを知っているのに驚いた。

「いや、なんかキミの空気、おだやかであったかいから邪魔なんかやないよ」

ホメられた・・・・・?

「オレ、法人営業部の野波と言います」

「知ってます。有名人ですから。営業部でテラーしてます、木下こまりです」
クスクス笑いながら自己紹介をする。

「ボタンのお礼、またするよ」

「いいですよ、このくらいのこと。お気遣いなく」

じゃ、またと野波さんが仕事に戻っていく。

誰にも自慢できないけれど、ちょっとだけ王子様と話ができた。邪魔に思われていなくて良かったと安心した。

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