好きを百万回。


でも

矢口さんはわたしが別れなければ絶対に計画を実行するんだろう。

あんなに頑張っているのに、わたしのせいで留学がダメになるかも知れない。

そんなこと我慢出来ない。

好きなのに。
誰よりも大切なのに。

胸が痛くて、心が引き裂かれそうで・・・・・。

着替えを終えて帰ろうとするけれど身体が動かない。

野波さんのためにどうしたらいいのか、答えは多分一つだけ。

バッグの中で携帯が鳴り、ハッと我に還った。

画面を見ると母親からだ。いつもこの時間にしてくるのは帰りに何か買って来てとかお願いの電話だ。

画面に指をスライドさせる。

「お母さん?」





いつもの電話だと思っていたのにいつもの電話ではなくて、電話を切るなり膝の痛みも忘れて駆け出した。

< 186 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop