好きを百万回。


「オレも来週から京都支店勤務。またよろしくな」

少し痩せただろうか?
細い銀色のフレームのメガネの奥で優しい瞳が細められる。



「さとーさーん、何持ってったらいいっすか?オレ取ってきますよ」

「佐藤?」

野波さんが怪訝な顔をする。

わたしは息を吸い込み、自分を落ち着かせて、首から下げたIDカードを持ち上げてみせる。

「・・・・・木下から佐藤になったんです」

野波さんが一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにその表情は引っこめられた。

「・・・・・おめでとう・・・・・でいいのかな?」

返事の変わりに微笑む。

「さとーさーん?」

「・・・・・呼ばれてるので行きます」

踵を返して志田くんのところへ行く。
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