初恋は一言から

「本日はとても天気も良く、皆様が入学式を無事に迎えることができて……めんどい。
魏姫なら一瞬で終わらせちゃうのに……うん?魏姫…?」


何か大切なことを忘れている。

慌ててスマホを取り出し、魏姫のメッセージを読み直す。


「え……ああ‼」

すっかり読み飛ばしていた。

迎えにこいって言ってるじゃん!

画面越しでも威圧感が半端ではない。

行かなかったら、多分半殺しだなぁ。

…こりゃ困った。

原稿全然書き終わってないのに迎えに行くなんて。

ちょっとむりですねぇ…

魏姫のために迎えに行きたいのは山々なんですけど。

はぁ。

「どうしよう」

何かいい案はないものか……

仮にも僕は理事長。

権力を行使すればこの難所も乗り越えられるはず。

「あっそうだ‼︎」

いいことを思いついた。

代理の先生に迎えに行ってもらえばいいんだ!

いますぐ校内放送で呼び出そう。

ピンポンパンポーン♬


『朝、緊急の職員会議をやります。教師のみなさん、理事長室に来て下さい』


ピンポンパンポーン♬
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