薬指の秘密はふたりきりで

お鍋に湯を沸かしてパスタをゆでながら、エビの殻を剥いて一口大に切って、アボカドとミニトマトも同様に切って、にんにくをみじん切りをする。

フライパンでにんにくを炒めて香りを出して、エビを入れて塩コショウをして炒める。

次にアボカドとトマトを入れて軽く炒めたあと、パスタのゆで汁を加えて、ゆでたパスタとバジルペーストとコンソメを入れて味を整えたら、出来上がりだ。

所要時間15分程度。

簡単で美味しくて見栄えのする、私のお得意パスタだ。


出来あがるのとほとんど同時に、亮介がお風呂から上がってきた。


「出来てるよ。座って」


声をかけると、濡れた髪を拭きながら食卓テーブルについている。


「はい。どうぞ」

「ありがとう。美味しそうだな」


いただきますと手を合わせて食べ始める亮介に続いて、私もフォークでくるくる巻き取る。

うん。今日は良い味に出来てる。

亮介はどうかな、口に合ってるといいけれど・・・。

ちらっと見てみると、上品ではあるけれど、がつがつと食べていた。


「美味しいな」

「良かった・・・亮介、今日は、差し入れ食べなかったんだね?」

「差し入れ?――ああ、あれか。いつも食べてないよ」

「そう、なんだ」


そっか。亮介は食べてないんだ。


女子たちが頑張って作ってる気持を考えると、ちょっぴり可哀想だけれど、嬉しいって思ってしまう。

彼女なんだもの。それくらい、許されるよね?
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