十日目の判決 -完-




私と結希はショッピングをして一通りしたい事を終えるとカフェに入った。結希は紅茶、私はレモンソーダを頼んだ。


「ふぅ、いのちゃんと街デートってやっぱり楽しい!いのちゃん、すれ違う人みんなの顔の特徴言うんだもん笑いが止まらなかったよ〜」


思い出し笑いをするように結希が笑う。すまん、人の顔を見るのは趣味だ。

鼻の高い人にはあれにメガネかけたらどうなるんだ、鼻の下にヒゲつけたら売り物になるんじゃないかとか考えてしまう。
ちなみに私の兄の鼻は売り物にピッタリだと思う。


結希と私は向かいあって座っていて、私はレモンソーダに目を落としながら言う。


「また、遊ぼう」

「うんうん!たくさんいろんな所に行こうよ、学校だけじゃなくていのちゃんともっと過ごしたい!」


たぶん、結希と一緒にいる時間が私の中で一番楽しい時間かもしれない。本当に楽しい。


結希には下に3人兄弟がいて4人兄弟の自分は長女だと聞いた事がある。いまでも意外だなと思うけど結希と一緒にいると納得できる。面倒見がいいし、本当にそこらの17歳よりしっかりしてる。

どこまでも人想いだし、どうやったら自分より他の人ってなるのか私は分からん。


「結希を誘って良かった」

「こちらこそ、ありがとう」


結希を見ればいつだってはにかみ笑顔をしている。

綺麗な黒髪、胸下辺りで揺れている毛先も痛むことを知らないようだ。結希は本当に黒髪が似合うな。



結希はやっぱり、男と一緒にいたんだ。

妖怪スピーカーの目撃は本物だ。



私は冷たいレモンソーダを飲み込んだ。







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