誘惑の毒林檎
[頼]
東田さんは遅れてきた
真面目な感じがしたから意外だ
「…何読んでるの?」
と雄二が聞いた
「あ、ごめんね、…俺本好きだからさ」
「え、お前本好きだったのかよ」
「頼はまず字読めないもんな」
「読めるし!!」
失礼な事ばっか言いやがって!
「…あ、これって最近凄い売れてる作家さんだよね!」
「うん、…花崗さん」
「そうそう!花崗さんの作品なら長野をイメージして本…なんだっけな…」
みかげさん?
誰だそれ。
「悲しい月の葉」
「そうだ!悲しい月の葉!あれ物凄い泣けたなー」
悲しい月の葉…
月…葉?
「あの言葉いいよね!『世界が二人を探すならもういっそのこと…』ってとこ」
東田さんの目がまた暗くなった
長野をイメージした
悲しい月の葉